8.フランスのクリスマス
lundi 29 decembre 2004, Paris / lundi 2 fevrier 2005, Tokio up

一般的に、フランス人のノエル(クリスマス)の過ごし方は、
日本で言うところのお正月に似ている。
日本ではお正月が一年のうちで最も大切な行事とされているけど、
フランスではノエルが一番大切な日で、
この日に普段離れて暮らしている家族が集まる。

夫の実家も同様で、私たちも12月23日に里帰りした。
24日の午後には一家が勢ぞろいして、
おしゃべりしたり、食べたり、飲んだり、時を忘れて楽しむ。
もともとおしゃべり好きで、みんなで一緒にいるのが好きなフランス人だから、
それはそれは、もうこちらがびっくりするくらい、
よくしゃべる、しゃべる、しゃべる!!
夕食の時間になるまで、
小さなテーブルを囲んでワインやジュースを飲みながら、
おつまみを食べ、おしゃべりに興じ、時々討論になったりもする。
そして、いよいよ食事の時間になると食卓に移動。 
ディナーはそれはそれは贅沢で、
まずフォアグラ、次にオマールや牡蠣をはじめとする海の幸、
デザートにはノエルに食べる、ブッシュ・ド・ノエルという、
蒔の形をしたケーキが3本。(チョコ、バター、フルーツ味)
これがまたすご〜く甘い!!バターと砂糖がたっぷり入っている。
そして風味付けのアルコールもかなり効いていた。
みな、赤ワインはもちろん、シャンペン、ウイスキーやブランディー
などなどすごく強いお酒も平気で飲む、飲む。
ノエルには七面鳥の丸焼きを食べるのかと思っていたが、
夫の実家では毎年フォア・グラや海の幸を食べている。
これは家庭によるらしい。

海の幸以外では、25日と26日の2日間とにかく食事は毎回、肉、肉、肉で
ああ〜ここはフランス、と思ってしまった(^^;;)
うずら、かも、牛・・
かもって日本では高級だけど、こちらではノエルに限らず、わりとよく食べる。
25日のお昼に食べたのは、マグレ・ド・カナール(magret de canard)と言って、
夫の母によると、かもの胸肉だそう。
それと、かもの脂肪でいためたジャガイモ・・・もう、こてこて過ぎる!!
うずらは原型をとどめているし、牛肉は表面だけ焼いて、中は生々しい。
私は良く焼く(ビアン・キュイ)でお願いするが、
かれらによるとやっぱり中が赤いほうがおいしいらしい。
あまり良く焼くと肉が硬くなるから、というのが理由だけど、
生生しい赤い肉を食べるのってなんか怖いよ〜。
フランス人は、他の外国人同様に、
日本人が生の魚(つくり、お刺身)を食べることに驚くけど、
私は生生しい牛肉を食べることの方が抵抗がある。
習慣の違いのせいだろう。
でもそれが当たり前になってきているので、慣れそうな自分が怖い・・(^^;;)
最も、最近ではおつくりやお刺身が大好きなフランス人も少なくないが。

この3日間の料理の豪華さ、贅沢さには驚いた。
次から次へと食べるものが出てくる。
よく映画の中で、中世の貴族達が長いテーブルを囲んで
ご馳走をたらふく食べるシーンが出てくるけど、まさにあんな感じ。
フランス料理は高級品なイメージがあるけれど、
本当はノエルのご馳走のような家庭料理が
豪快で一番おいしいのかもしれない。

さて、ノエルといえば、なんと言ってももみの木とプレゼントだ。
きれいに飾り付けられたもみの木の下には子供が靴を置いていた。
フランスでは靴下ではなく、それぞれ靴を置いて、そこにプレゼントをおくらしい。
そして、24日の夜12時になったらみなで一斉にプレゼントを開ける、
というのが、夫の家では行われているが、
今回は例年にない大人数であったのと、
長いこと会ってなかった親戚の家族が来たため、
皆が時を忘れて話しに夢中になり、プレゼントは25日に開けることになった。
もみの木の下にはきれいにラッピングされた、
たくさんのプレゼントで埋め尽くされていた。
みな、それぞれプレゼントをあけると贈り主に
ありがとうのビズー(左右の頬をお互いくっつける、フランスの挨拶)をする。

最大のイベント、ノエルが終わり、26日に私たちはパリに帰った。
街は、まだノエル気分が抜けないものの、お店は開いているし、
仕事を始めている人もいるので、普通の日と変わりがない。
一般的には1月2日が仕事初めだそうだから、人それぞれなのだろう。
若者達には、もうひとつの大きなイベントである、
レヴェイヨンといわれる、大晦日のパーティが残っている。
家族で過ごすのがノエル、友達と過ごすのがこのレヴェイヨンだ。
31日は彼らは一晩中踊り明かす。
私はこのレヴェイヨンはパスして、家でゆっくり過ごそう。
日本のお正月を思いながら・・。

Satoko


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