1.フランソワ・ミッテラン図書館とアルチュール・ランボー小道
lundi 3 mars 2003, Paris / jeudi 20 mars 2003, Tokio up

今日は朝からあいにくのお天気。
雨は降らないまでもどんよりとした厚い雲が垂れ込めている。
先週一週間は真っ青な空が広がっていて、セーター一枚でも
十分外を歩けるほど、暖かかったのになぁ・・。
もうこのまま春になったかたと思われるようないいお天気が続いたけど、
そう甘くはなかった。
メテオ・フランスによると今週一週間はずっとこんな感じらしい。
本当は青空の下散歩をしたかったけれどしょうがない。
こんな日はどこへ行こう?
美術館にしようか?
いろいろ考えているうちに、前々から興味があった、
フランソワ・ミッテラン図書館(フランス国立図書館)が頭に浮かんだ。
なぜかと言うと、ここには私の大好きな詩人、
アルチュール・ランボーの手書きの詩が保存されていると聞いたからだ。
一般に公開されているかどうかはわからないけれど、ぜひ行ってみたかった。
それに、これは最近パリの地図を見て気づいたことだが、
その図書館のちょうど真ん前に
「アルチュール・ランボー」と名づけられた小道があることを発見して、
行ってみたいと思っていたところだった。

その日の午後、
日本でもあまり図書館を利用したことがない私はちょっとどきどきしながら、
厚いコートを羽織ると、家を出た。

メトロ6番線のケ・ドゥ・ラ・ガール駅から、歩いてすぐ。

図書館を示す矢印もちゃんとある。
近代的な建物がひしめいている界隈で、
目の前を流れるセーヌ川を除けばパリとは思えない風景。
あ、ここは左岸(rive gauche)になるのね。
大きく張り出された地図を見ながら妙に関心。

まずは図書館を目指し、歩いていった。
私は勝手に、巨大な建物がばーんとあり、
これまたばーんと「フランス国立図書館」と
看板がたっていると何の根拠もないのにそう思い込み、それを目指した。
なにやら隣にえんえんと縦にも横にも長くて広い階段が続いている。
その上に、
パリとは思えない近代的なオフィッス・ビルのような建物がちらりと見える。
さほど気にも留めなかった。
私は延々と歩いた。
これはおかしい、
地図では駅からすぐのところにあって、迷うはずはないのだが・・。
そして、ふと思った。
もしかして、例のあの階段の上の建物・・?
私は長い階段を登っていった。
あああ〜やっぱりそうだった。
私は自分の勝手な思い込みが作り出した、
想像の図書館を思って一人で苦笑した。
なんて、思い込みが激しいんだろう。

さて、そこにはこれまた巨大な植木が柵のように連なり、
「フランス国立図書館」とばーんと書いてはいなかったが、
時間割を示した看板が出ていた。
「東館はあちら」と矢印。

東館・・?ということは東西南北と入り口があるのだろうか?
私はおそるおそる植木の間から中に入った。
そこはだだっぴろい空間。
その横に図書館らしき建物があるが、近代的で堂々としてる割に、
なんだかとても控えめな印象を受けた。
また少し歩いていくと「東館入り口」のでっかい看板・・
いや、看板とはいえないモダンな標識があった。
(こういうのをなんというのだろう?)
近代的な図書館の周りをぐるりと回ったが、入り口が見つからない。
それに閑散としている。
暗い空とだだっ広い空間と重なってなんか寒々しい・・。
そしてまた気づいた。
「東館入り口」このでかい標識で両側をふさがれて外から見えにくかったが
この中にエスカレーターがあって、降りていくのだと。
ああ、やっと図書館に入れる。
なるほど、ここまでくると人も結構いる。
やれやれ・・・なんてわかりにくにんだろう・というより、
なんて私はそそっかしいんだろう。

回転ドアをよいしょとおすと、ひぇー〜
荷物検査がある。
にこりともしないムッシューが立っている。
大きな美術館と同じだ。
やっと中に入ると、そこはすごく厳かな雰囲気。
みんな静かだ(当たり前か)
なんだか高級ホテルみたい。
長い廊下がある。
と、とりあえず、
フランス文学のコーナーの閲覧室(salle du litterature francais)
を探してみよう・・。
どうやらそれは「西館」にあるらしい。
ずんずん歩いていくと、いつのまにやら「西館」へ(^^)
ああ、あった、あった、フランス文学のコーナーが。
で、でもなにやらメトロにある自動改札機のようなものがあって、
またムッシューが立っている。

ムッシュー : 「マドモアゼル」(と呼ばれてしまった)
私 : 「ボンジュール、ムッシュー、あの、何か買わなければいけないんですか?」
ムッシュー : 「その通りです。あそこに窓口があるからチケットを買ってください。
一日3ユーロです」

ひえ〜そうだったのか。
閲覧するのにチケットを買わなければいけなかったのね。
でも今日はまだランボーの小道も散歩したいし、
今度朝からゆっくりと来ることにしよう。
そういえば、図書館の中にカフェもあったし、
閲覧室以外のところには椅子もたくさん置いてあったので
そこでならお昼を食べたり、飲み物を飲んだりしてもいいらしい。
それで一日3ユーロならいいかもしれない。

さっき、「東西南北」と出入り口があると思ったが、「東西」だけだった。
外から、もう一度よくこの図書館の位置を確かめてみると、
全体は長方形の敷地で、その東側と西側(長方形の四隅)にそれぞれ、
二つづ建物が建っているという具合だ。
その真ん中は、うっそうと背の高い木々が茂っている。
地図で確かめると、なるほど、四隅は濃い緑で塗ってある。
そういう意味だったのね(;^^)
私が思っていたような、
ひとつの大きな建物がばーんと建っているというのではなかった。


東館

西館

私は晴れ晴れした気持ちで、図書館を後にした。
今度来るときは迷わないぞ〜!

長い階段を降りると、すぐに大きな道路(Quai Francois Mauriac)
がある。そのもうひとつ向こう、セーヌ川沿いに小さな小道が・・
あれがランボー小道に違いない。

私は待ちきれない思いで道路を渡った(押しボタン式信号;^^)

本当に小さな並木道。
木は枯れて細く、なんだか悲しそう。
この木はマロニエだろうか?
栗のイガイガがたくさんぶら下がっている。
なんだかぼんぼりみたいでとてもかわいい。
新緑のころ、または秋が深まったころはとても美しいにちがいない。
私はセーヌを見ながら、
人気のほとんどない小さな散歩道を駅のほうにぶらぶら歩いていった。
お天気は悪いが、幸いなことに風もないし、そう寒くない。
とうとう散歩道も終わりまで来たところ、(本当はここが始まりなんだけど)
ああ!!ありました!!
「Arthur Rimbaud」の標識が!!

ここが本人とどういう関係があった場所かは今のところ不明。
でも訪れることができて本当にうれしかった。

フランソワ・ミッテラン図書館にあるランボーの手書きの
詩を見ることができるかどうか確認できなかったが、
これはまた近いうちに確かめたいと思う。

Satoko


<メモ>

フランソワ・ミッテラン(フランス国立図書館)
(Bibliotheque Nationale de France, F.Mitterand)
Quai Francois Mauriac
75013
メトロ6番線 Quai de la Gare より歩いてすぐ
ほかに14番線 Bibliotheque Francois Mitterand

●図書閲覧−東館
開館:10時〜19時
日曜日:12時〜18時
休:月曜と祝日
閲覧料:3ユーロ(一日)

●エキスポジション−東館
開館:10時〜19時
日曜日:12時〜19時
休:月曜日と祝日
入場料:5ユーロ

Photo: Satoko, lundi 3 mars, Paris


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